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- 肥満症外来(保険適応のGLP-1注射)
肥満症
当院は肥満症へのGLP-1注射が保険適用です
GLP-1注射
①「マンジャロダイエット」としてGIP/GLP-1受容体作動薬の自費治療が宣伝されていますが、厚労省が認めた肥満症に対する注射薬は「ウゴービ」「ゼップバウンド」です。
②「ウゴービ」「ゼップバウンド」は、脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑制します。また、胃の蠕動運動を抑えて満腹感を出すことで食事量が減り、体重を減少させる薬です。
③ 当院ではこれらの肥満症治療の注射薬を保険適応で治療できます。
④ 厚労省はこれらの治療薬を安全適正に使用することとしており、保険で処方できる医療機関には一定の施設基準と治療責任医師の要件が設けられています。当院はその基準を満たし、肥満症に対する「ウゴービ」「ゼップバウンド」の注射治療が保険で受けられます。
肥満症を保険診療で治療することの意義
保険診療の対象となる「肥満症」は、単に体重が過剰な状態ではなく、肥満が原因で糖尿病、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などの健康障害をすでに合併しているか、そのリスクが非常に高い状態を指します。
下図のようなメタボリックドミノという概念が提唱されています。
肥満が原因で起きてくる様々な生活の質に支障をきたす疾患の上流にある肥満、このドミノ倒しの出発点を抑制することにより、最下流の事態を避けることが出来るというものです。

保険診療による適切な減量治療は、将来の心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる重大な病気を予防することに直結します。体重を5~10%減らすだけでも、これらの命に関わる重大な病気のリスクは大きく改善することが報告されています。
ながらく、有効な肥満症治療薬の開発が待たれてきましたが、最近になりようやく「ウゴービ」「ゼップバウンド」という、効果的な肥満症治療薬が使用できるようになりました。
この2種類の注射薬は効果的な肥満症治療薬です。
しかしまれに急性膵炎や腸閉塞、肝機能障害などの重篤な副作用も報告されており、保険診療を活用して、医師の管理指導の下で使用されることが推奨されています。
当院の保険による肥満症診療では、定期通院をしながら、体重や血液検査のデータを確認し、医師や管理栄養士から継続的なフォローアップを受けられます。
肥満症は自己責任ではない
肥満症には、「自己管理能力の欠如・怠慢」といったスティグマ(否定的な態度や偏見・差別)がありますが、食欲には個人差がありますし、遺伝的な体質・ホルモンの状態・腸内環境、また社会環境や個人を取り巻く環境などとの関係も大きいのです。
そのため、食事量を減らして運動をすれば誰でも同じように減量できるはずという、単一な考えは必ずしもあてはまりません。
モチベーションが下がりそうな時や、生活習慣が乱れそうな時にも、保険での肥満症外来では、専門家からのアドバイスがもらえるため、リバウンドを防ぎ、長期的な健康維持につながります。
肥満症治療は、一度痩せたら終わりではありません
目標体重を達成したのちも健康的な体重を維持していくことがとても重要です。
減量治療の基本である、食事・運動、行動療法などのライフスタイル改善療法は薬物治療の開始前から必須であり、薬物治療の期間が終わった後も、生活の中に無理なく自然に取り入れることで、肥満症治療の効果を高めることが出来ます。
「ウゴービ」「ゼップバウンド」での保険治療には一定の条件を満たす必要があります。
下記内容をご確認ください。
保険診療での肥満症治療の適用条件(①もしくは②)
① BMI≧35で、高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかで内服治療が必要
② BMI≧27で、高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかで内服治療が必要かつ下記の肥満に関する健康障害
が2つ以上ある
肥満に関する健康障害
1,耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
2,脂質異常症
3,高血圧
4,高尿酸血症、痛風
5,冠動脈疾患
6,脳梗塞
7,非アルコール性脂肪性肝疾患
8,月経異常、不妊
9,閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10,運動器疾患
11,肥満関連腎臓病
内服治療が必要な 高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病があるかどうかわからない方は、当院で検査を実施して診断致します。
| BMI早見表 | BMI27 | BMI35 |
|---|---|---|
| 150cm | 60.8kg | 78.8kg |
| 155cm | 64.9kg | 84.1kg |
| 160cm | 69.2kg | 89.6kg |
| 165cm | 73.6kg | 95.3kg |
| 170cm | 78.1kg | 101.2kg |
| 175cm | 82.7kg | 107.2kg |
| 180cm | 87.5kg | 113.4kg |
肥満症外来のながれ
1. 初診~診断
〈初診時〉
・今までの体重の経過・生活習慣・既往歴など詳しく問診
・身長、体重、血圧、腹囲、採血、採尿
・過去の健診データなどもある場合は診断の助けになりますのでご持参ください
〈上記以外で必要な場合に(当日・後日)追加する検査〉
・レントゲン、心電図、頸動脈エコー、ブドウ糖負荷試験、二次性肥満検査、脈波、頭部画像検査、腹部画像検査、冠動脈画像検査、睡眠時無呼吸検査、など
2. 薬剤投与前の半年の準備期間(食事運動療法の期間)
薬剤治療の適応の状態であった場合に、最初の半年間は食事運動療法を実施してから、薬剤治療が開始となります
【薬剤(ウゴービ®、ゼップバウンド®)の保険適応となる方】
① 当院通院開始より半年以上、減量のための適切な食事療法・運動療法を実施
② 1か月ごとの受診を続けている※
③ 2か月に1回以上の頻度で栄養士との面談を受けている※
④ ご自宅で食事運動療法の定期的な記録をとり毎回の受診時に持参している
⑤ 高血圧、脂質異常症、糖尿病のいずれかに対し内服加療を行っている
上記①~⑤:必須条件
※毎月の定期の受診や1~2か月ごとの栄養士との面談が実施できない場合は、その時点で保険適用の上では治療中断の扱いとなります。この場合に保険適応での治療を再開するには、再度初月から食事・運動療法のやり直しが必要です
3.薬剤(ウゴービ®、ゼップバウンド®)の投与
- 初期用量から開始し、週に1回、自己注射を行います。効果・副作用を確認しながら、必要に応じて4週間以上の間隔で増量していきます。
- 副作用や効果の確認のため、投与開始後も毎月の受診と検査が必要です。また、引き続き1~2か月に1回の栄養士との面談も必須です。(引き続き上記①~⑤必須条件)
- 投与期間は最大68週間(ウゴービ®)、72週間(ゼップバウンド®)です。
- 投与期間終了後は一定期間の健康状態の確認を行い、薬剤再開に関しては、必要性を十分検討することになります。薬剤の再投与が必要と判断された場合も、基本的には再度半年の準備期間を経ていただきます。
※重度の精神疾患を有する場合は安全上の理由で薬物治療を見合わせる場合があります
4.薬剤(ウゴービ®、ゼップバウンド®)について
【肥満症に対する治療薬のしくみ】
- 脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑制します。また、胃の蠕動運動を抑えて満腹感を出すことで食事量が減り、体重を減少させる薬です。
- 同じ成分の薬剤は、以前から糖尿病治療薬として使用されており、インスリンの分泌を促しグルカゴンの分泌を抑制することで血糖の改善効果があります。
〈ウゴービ〉
糖尿病治療薬の「オゼンピック」「リベルサス」と同成分で、GLP-1受容体作動薬に分類されます。0.25mg~2.4mgまでの5段階で、週1回皮下注射をします。オゼンピックは最大投与量が1.0mgですが、ウゴービは最大2.4mgの投与が可能です。最大投与期間は68週間です。
〈ゼップバウンド〉
糖尿病治療薬の「マンジャロ」と同成分で、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬に分類されます。2.5mg~15mgまでの6段階で、週1回皮下注射をします。最大投与期間は72週間です。
〈副作用〉
出やすい副作用としては、下痢・便秘、嘔気・嘔吐、消化不良、膵炎、注射部位の発赤・かゆみ、などがあります。また、増量に伴い副作用が出やすくなりますが、全員に出るわけではありません。当院では毎月の診察と採血で副作用の出現も注意深くフォロー致します。
〈薬剤を使用することが出来ない方〉
・妊娠中、2か月以内に妊娠を予定している方
・授乳中の方
・小児
・高齢者
・1型糖尿病の方
・胃潰瘍・潰瘍性大腸炎
・クローン病など重度の胃腸障害のある方
・膵炎の既往がある方、膵疾患のある方
〈薬の費用〉
ウゴービは3割負担の場合、1か月の4回分は、1.0mgが約7,000円、最大量の2.4mgが約13,000円です。
ゼップバウンドは3割負担の場合、1か月の4回分は、2.5mgが約3,700円、10mgが10,800円、最大量の15mgが約13,500円です。
※このほかに保険診療の診察・検査費用がかかります。